”コロナ禍の働き方”の記事でも触れましたが、成果を見せることが重要という話をしました。でも、そもそも成果ってなんだろうか?という根本的な疑問について考えてみたいと思います。
私が考えている成果というのは、何も大きな仕事をやり遂げたり、大きな商談をとってくることだけを指すものではありません。別の言い方をすると、成果は毎日出せる(出さなくてはいけない)もので、その毎日の成果の積み重ねが大きな商談や、事業の成功と言った、わかりやすい大きな成果につながると思っています。
まず始めに、成果とは何かを正しく理解するために、明確にすべきことについて一つ述べたいと思います。それは、
行ったことと、成果は違う
ということです。
皆さんが働く会社やチームの中で、週報(Weekly Report)の提出を業務に組み込んでいるところもあると思います。実際、私の会社でも、フリーフォーマットで社員によってはWeeklyの報告をお願いしています。
フリーフォーマットですから、内容に各個人の差が如実に表れます。
これは悪い例ですが、ある社員の週報はいわゆる”やったこと”リストが事細かく記載されていました。週報のボリュームもそれなりにあるので、時間をかけてレポートしてくれたことは察しがつきますが、これは私が期待している週報ではありません。
何故か? 成果が書かれていないから。
もう少し具体的に話をすると、あなたが営業職だとします。今週あなたは10人の顧客とアポを取って、電話会議をしたとします。でも、商談成立は0件でした。今週の週報になんと書きますか?
先の週報の悪い例では、コンタクトした各顧客の会社情報、担当者の役職、担当業務、どういう製品を売り込んだかなどが、週報として細かく書いてあります。すくなくとも仕事をしていたことは分かります。週報も一生懸命書いたことも伝わります。でも、これは個人の業務メモであって、会社に週報として報告する内容としては成果の部分が決定的に欠けています。なぜなら10人の顧客と話をしたこと自体は成果ではないからです。
成果というのは、行ったことの結果として、どういう利益や価値を会社やチームにもたらしたのかという部分です。
さらに言うと、そこに、なぜそれを行ったのかの動機と、得ようとした成果やゴールが明確になっていればパーフェクトです。
以下の4点は私が成果を意識した業務の遂行に重要な点だと思っている事柄です。
1)なぜ、それを行ったのか、動機、理由、背景
2)行ったこと
3)その成果
4)目指したゴールとのギャップ解析、今後の活動へのフィードバック
売り上げという意味では、商談成立0件ですが、商談以外にこの10人の顧客と話す過程や結果として得られたことがあったはずです。
例えば、売り込んだ製品はいらないといわれたが、こんな製品があったら欲しいといわれたとすれば、新規企画のネタになる成果ですし、10人の顧客のアポ取りも50人に打診して10人なのか、15人に打診して10人なのかでは大違いです。もし15人に打診して10人とアポが取れたなら、どうして高確率でアポが取れたのか、それを考えればチームにとっては有益な情報になり、立派な成果につながります。
また、目立った成果がなかったとしても、行った行為に目的があったのであれば(例えば、その10人の顧客は自分なりに厳選して、高い確率で商談に持ち込めると見込んだ顧客だったとか)、そのアプローチが正しくなかったという成果が得られるわけですし、その経験を次の活動に生かせるのあれば、それは立派な成果に変わります。あなたの経験をうけて、チームとしても別のアプローチを考えるきっかけになります。でも、何も考えずにただ手あたり次第に10人なら、これを繰り返していても、期待される売り上げの成果につながるとは到底思えません。チームにとってもその行為からは有益な情報はえられないでしょう。
あなたと同じようなことを業務として行っている社員がほかにもいるはずです。でも、この仕事をあなたに依頼したときに、あなたからしか得られない結果が成果になります。単純に10人の顧客に合うことだけを取れば、他の誰かも同じことができるでしょう。でも、そこにあなた独自の視点や、価値の創造、付加ができれば、それはあなた以外の誰かができる仕事ではなくなります。それが成果の本質です。
毎日の小さなアイデアや気づき、些細なチャンレジの積み重ねが、日々の成果になり、やがて大きな成果として実を結ぶと私は考えています。
こう考えれば、成果を出すのはそんなに難しことではないと思いませんか。
そして、”結果より過程が大事”という人の大半が言い訳にこのフレーズを使っていると思う話を、次の機会にしたいと思います。